美容室開業者向け!内装費用の相場・少しでも安く抑えるためのポイントを解説!
更新日:2024.01.23
美容室を開業するための重要な要素に「内装」があります。
お客様が過ごしやすく、スタッフが働きやすい環境にするためにも、デザイン性・機能性を双方に配慮した内装を心がけましょう。
この記事では、魅力的な内装にするために知っておきたい内容を紹介していきます。
目次
- 美容室の内装デザインの考え方
- 電気・水回りの確認
- 美容室の内装で注意すべきこと
- 美容室の内装工事費用の相場とは
- ケースごとの内装に必要な費用感・気を付けること
- 内装工事を少しでも安く抑える方法
- 内装業者を選ぶポイント
美容室の内装デザインの考え方
内装を業者に依頼する場合、具体的なイメージを持つことが大切です。
具体的なイメージがあると、費用感、工期、デザインの可能性の有無など、さまざまな面で業者と打ち合わせが可能です。
おしゃれなデザインをイメージする際には、以下のポイントを意識しましょう。
コンセプトを明確に決める
デザインを決める際には、美容室のコンセプトは何かを決めましょう。
お客さんのターゲット、価格路線など、お店の方向性がそれぞれあると思います。
コンセプトを明確にすることで、内装のデザインにどのような求められているのか、イメージできるようになります。
高級志向のお店であれば、設備だけでなく使用する壁紙も高級感のあるデザインや仕切りを作る必要があります。
デザインを検討する第一歩は、お店のコンセプトは何かを考えることです。
コンセプトを決めるために、どのようなレイアウトが理想的か具体的に書き出すようにしましょう。
機能性・動線でデザインを検討する
美容室はおしゃれなデザインを考えるのではなく、「機能性」「動線」が重要です。
2つのポイントを意識した内装を実現することで、お客さん・スタッフに喜ばれるデザインを可能にします。
機能性を重視したデザイン
床材は、凹凸がなく薬剤で変色をしないものがおすすめです。
美容室は、髪の毛が落ちること、水の使用、パーマ液をはじめとした薬剤を使用することを前提に検討してください。
床材選びを正しくおこなえば、髪の毛がおちてもさっと掃き掃除をおこなうだけで常に清潔感のある空間を実現できます。
シャワー台周りは水捌けのよい床材にすれば、汚れにくく掃除も簡単にできます。
どのような床材が薬剤に強く凹凸が少ないのかを判断するのは素人では難しいかもしれません。
床材選びで悩んだ際には専門家の意見を聞くようにしてください。
動線を重心したデザイン
美容室は、他のサロンと比較してもお客さんの移動が多い傾向があります。
カットを終えたらスムーズに移動できるような動線を意識しましょう。
動線を考える際に、お客さんとスタッフの動きを別々で考えることが大切です。
お客さんにとっては理想的な動線ではあるものの、スタッフが働きにくい設計はストレスを感じてしまう可能性があります。
バランスを取りながら、ストレスを軽減するような作りを心がけましょう。
リラックスできる空間づくりを意識する
美容室はお客さんが長時間滞在する空間であるため、居心地の良さも意識する必要があります。
居心地の良い空間を実現するために重視するポイントは「配色」「照明」「装飾」です。
配色は多くても3色にとどめ、落ち着きのある空間づくりを目指しましょう。
配色を増やしてしまうと、ごちゃごちゃしてしまい落ち着きのない空間になる恐れがあります。
おすすめはブラウンなどの茶色系です。落ち着きのある色合いで、リラックスした空間を演出できるでしょう。
照明は、カット台周辺は白色、シャンプー台や待合室はオレンジ色の照明色がおすすめです。
使いわけが難しい場合は、明るさが適宜調整できるようにLED照明を活用しましょう。
また、リラックスする空間づくりでは、装飾も重要な要素の1つです。
観葉植物など緑を増やすことで暖かみのある落ち着いた空間に仕上げることが可能になります。
迷ったらこのデザイン!おすすめの定番内装例
デザインで重視するポイントが何か理解したものの、実際にどのようなデザインが最適か良いかわからない方は以下の内装を参考にしてください。
定番の内装を活用することで、業者にイメージを共有しやすくできるメリットがあります。
基本のデザインをベースに、オリジナリティあふれるデザインに設計できるのでおすすめです。
ナチュラル系
木の温かみを利用した落ち着きのある内装を実現するためには、ナチュラル系がおすすめです。
床材と壁の資材を、人工木で設計し、落ち着きのある空間に仕上げることができるでしょう。
天然木を活用することで、高級感を演出することもできます。しかし、コストが高く定期的な張り替えが必要になるため注意が必要です。
アンティーク
アンティーク調にまとめることで、スタイリッシュな空間に仕上げることが可能です。
アンティーク調は設計によって、高級路線にもできます。
お店のコンセプトに合わせた店舗設計を意識しましょう。
高級・ラグジュアリー系
高級感を強調するのであれば、白、ダーク系でまとめましょう。
白を基調とした壁にするのであれば、清潔感を強調することも可能になります。
電気・水回りの確認
美容室の物件選びの中で、最も注意していただきたいことは、電気・水回りの確認です。
電気と水回りは細かくチェックしておかないまま契約をすると、追加費用が必要になってしまう恐れもあります。
ここからは、電気・水回りの内装工事で把握しておくべきポイントを紹介します。
美容室は電気を必要以上に使う
美容室では電気を多く使うことから、ネイルサロンや整体院などのブレーカー容量では足りないケースもあります。
万が一容量の満たない物件を契約した場合、後から容量をあげるための工事をしなくてはいけません。
メインブレーカーの容量を追加する際には、1ヶ月程度の工事と100万円単位の追加費用がかることも考えられます。
物件によっては、容量アップができない可能性があるので内見時に確認をしましょう。
例えばカット台3台、シャワー台3台の場合は、1台あたりに15アンペアが必要となり、おおよそ50アンペアが必要です。
さらに、照明、エアコンなどを考慮すると80アンペア〜100アンペアが必要になるでしょう。
美容室は他のお店に比べて電気を使うので必ず容量を確認してください。
必要な電気容量は、以下の式で計算が可能です。
消費総電力(w)÷100=必要なアンペア
店舗規模に合わせて必要な電力を確認しましょう。
水回りで覚えておくこと
美容室は水道効率も考えなければなりません。
水道設備を確認する際には、「引込水道管の口径」「水圧」「排水管経口」の3つに注意をして確認をしてください。
何も考えずに契約をすると、シャワーを使用した際に水圧が弱くなってしまったり、水捌けが悪くなってしまう恐れがあります。
美容室の場合、引込水道管の口径が最低でも20mm必要になります。必ず契約前に水道管の大きさを確認するようにしてください。
古い物件の中には13mmの物件もあるので注意が必要です。
水圧は2.0気圧あると、快適に使えるでしょう。万が一気圧が満たない場合は圧力ポンプを設置する必要があり、工費がさらに高くなる恐れがあります。
排水管の詰まりを避けるために、排水管の経口は60mm〜75mmが理想です。
設置するシャワー台数によってはさらに経口を拡大する必要もあるため、施工業者に相談して工事を進めましょう。
美容室の内装で注意すべきこと
内装を納得のいくデザインに仕上げるために、注意すべきことがあります。
以下のポイントを確認して、開業準備を進めていきましょう。
DIYを取り入れる要素を見極める
内装を進める際に、DIYで何とかコストを抑えようと考える方も多くいるかもしれません。
しかし、重要な工事をDIYで済ませてしまうと、思わぬトラブルを招く恐れがあります。
例として、壁につけるタイプの棚をDIYで取り付けてると、建付けが甘く落下することも考えられます。
壁紙の張り替えを個人で行うと、きれいに貼ることができずに見栄えが悪くなってしまうこともあるでしょう。
内装にDIYを取り入れる際は、どこまでを自身でやっていいのかを見極めることが大切です。
不安がある方は、施工業者に一度相談してみましょう。
あらかじめ費用を設定する
美容室の開業資金の半分は、内装費用が占めます。
こだわればこだわるほど、内装に必要な費用感が必要になってしまい多くの費用が必要になってしまうこともあります。
予算オーバーを回避するために、イメージに沿ったデザインを実現するためにどの程度の費用をかけられそうかを設定してください。
内見時に汚いと感じた物件は避ける
居抜き物件をはじめ、内見時に「汚い」と感じた物件は注意が必要です。
内装工事をするので、汚さを無視することもありますが、かえって費用が高くなってしまう恐れがあります。
例えば、天井や壁のコンクリートがボロボロの場合、内装前に一度コンクリートで壁を修繕する必要があり追加費用がかかります。
外壁の塗装がはげている物件であれば、看板制作や塗装だけでなく外壁の修繕工事も新たに必要です。
素人の目から見ても明らかに修繕が必要と判断する物件は一度立ち止まって検討してみましょう。
工期に余裕を持たせる
内装業者への依頼から開業日までの日取りを短く設定していると、工期遅れが発生した際に開業日に間に合わなくなってしまう可能性があります。
開業日が遅れてしまうと、コストが増えてしまうため注意が必要です。
業者の工期遅れの原因はさまざまですが、最近では資材高騰の影響で資材の調達ができずに内装が進まないこともあります。
依頼前に、どの程度の工期が必要なのかを確認しましょう。
開業日をあらかじめ設定している場合は、最低でも開業日よりも1ヶ月前に完成できるように計画を立てると良いかもしれません。
業者の選定をしっかりおこなう
納得のいくデザインを実現するためには、業者選びが重要です。
業者選びで重要なポイントは、美容室の内装を数多く手掛けているかどうかです。
内装費用を安くおさえることができる業者でも、美容室の内装に必要なノウハウを知らない場合は費用が高くなってしまう恐れがあります。
おしゃれな内装を仕上げても、スタッフの動線を無視した機能性に欠けるデザインになってしまう恐れがあります。
美容室を数多く施工した実績のある業者に依頼することで、おしゃれかつ機能性が充実したデザインに仕上げられます。
さらには、これまでの経験からコストを抑えるために何ができるのかを提案してもらうことも可能です。
実績のある業者に依頼をして、魅力的な内装を実現させましょう。
美容室の内装工事費用の相場とは
美容室の内装工事費用はどの程度必要なのでしょうか。
美容室の内装費用について解説します。
工事内容で見た費用相場
工事内装別の費用相場はおおよそ以下の通りです。
- 電気工事:60万円~70万円程度
- 水道工事:50万円~70万円程度
- 給排水工事:30万円~60万円程度
- ガス工事:10万円~15万円程度
- 空調工事:80万円~120万円程度
- 排気工事:20万円~25万円程度
看板制作、シャンプー台、椅子などの設備費用に含まれないこともあります。
業者によっては、必要な備品を込みで提案をしてもらえることもあるので、事前に確認することをおすすめします。
坪単価で見た内装工事費用
美容室の費用は、坪単価でも相場を知ることができます。
坪単価の目安は、1坪あたりおおよそ20〜40万円程度です。
ただし、
物件の種類で見た内装工事費用
内装工事の費用は、物件の種類によってもおおよその目安を知ることができます。
スケルトン物件
ここ数年のトレンドとして、スケルトン物件を活用して内装を検討する美容室もあります。
打ちっぱなしのコンクリート、配管が剥き出しの天井をあえて残しながら内装を設計することで、おしゃれな間取りを作ることも可能です。
坪単価はおおよそ15〜30円前後になります。出店予定のビルによって価格が異なるので必ず確認しておくことをおすすめします。
居抜き
費用を安く抑えたい人におすすめの物件は、居抜き物件です。
従来の間取り、設備をそのまま使用して内装を検討することができます。
坪単価の目安はおおよそ15万円〜20万円程度です。
居抜き物件で注意すべきポイントは、物件によっては工費を安く抑えることが難しい場合もあることです。
間取りの見直しや、設備の修繕など手を加える必要がある場合は、追加コストが必要になるので注意してください。
改装
建物の一部を壊して、新たに作り直す改装の場合、坪単価は25〜30万円になります。
新装よりもコストを抑えながら、内装を自由に考えられる点が改装物件の良いところです。
改装の物件で注意すべき点は、契約前に配管等の目に見えない設備の状態を確認します。
設備が老朽化していると、改装時に配管の修繕工事が必要になり、結果的に費用が高くなってしまう恐れがあります。
物件の状態を確認するようにしてください。
内装工事を少しでも安く抑える方法
おしゃれでしかも費用が安い内装を実現するためには、どのようなことが必要なのでしょうか。
費用を少しでも安く抑えるためにできることを紹介します。
一括で依頼できる業者を選ぶ
内装を依頼する場合は、内装、外装、看板制作をすべて一括できる業者をおすすめします。
内装、外装、看板制作それぞれに依頼をすると、費用が割高になってしまう恐れがあります。
一括でできる業者に依頼をすれば、依頼時に内装に必要な費用を全て把握することが可能です。
1つの業者だけに依頼をすることで、どんなデザインを目指しているのかを共有でき、認識のすり合わせもおこないやすくなるためおすすめです。
費用を少しでも抑えようと検討しているのであれば、一括でできる業者を選びましょう。
相見積もりをおこない業者と相談する
依頼業者を1社のみに絞るのではなく、3社程度に依頼をすることをおすすめします。
相見積もりは、複数の業者と相談をする必要があり面倒な作業です。
しかし、しっかりおこなうことで相場の把握、各業者の対応、工事の日程などさまざまなポイントを把握できます。
相見積もりが、業者決め手にもなるのでおすすめです。
お客さんの目が届く箇所の装飾を強化する
予算に限りがある場合は、お客さんの目がいくところを中心にコストをかけましょう。
受付、施術台、シャワールームの3つの項目にコストをかけ、外装や看板などは簡素化してください。
お客さんの目がいく場所を適当にしてしまうと、印象を悪くしてしまう恐れがあります。
予算を抑えることも大切ですが、お客さんが「ワクワクして訪れることができる場所」「清潔感のある場所」は決して崩してはいけません。
備品は中古品を利用する
コストを抑えるために、美容室で使用する備品は中古品を活用して利用する方法がおすすめです。
中古品の中でも状態が良いものであれば、新品同様に使うこともできます。
注意すべき点は、中古品を使用する場合はお店のコンセプトと合致する場合です。
例えば、高級感を売りにしているお店が中古品を利用すると、お客様への信頼感を損なってしまう可能性があります。
中古品を全て取りそろえるのではなく、中古品で良いもの、新品でないと絶対にダメなものを分けて考えるようにしましょう。
内装業者を選ぶポイント
内装業者を依頼しようとするものの、どのようなことに注意をして依頼をすれば良いかわからない方のために、業者を選ぶポイントをまとめました。
業者選びの参考にしてください。
施工事例の確認
内装業者がこれまでにどのような工事をおこなってきたのか、施工事例を確認しましょう。
施工事例をネットで確認する方法が理想ですが、場合によっては施工事例がわからないこともあります。
施工事例を知りたい場合は、打ち合わせ時にこれまでにどのような美容室を手がけてきたかを聞いてください。
この時、店舗の規模や費用感、工期など具体的な情報を聞き出すことをおすすめします。
過去の施工事例が、レイアウト・費用感・日程を含め、全て自分の理想通りのものであれば、納得のいくデザインに仕上げてもらえる可能性があります。
施工事例は業者の「顔」と言っても良いと過言ではありません。
実績のある業者に依頼をする
デザイン力の高い業者を選ぶ際には、施工業者がどのような実績を有しているか確認すると良いでしょう。
実績のある業者に依頼をすることで、どのような点にコストをかけるべきか、どのような工事が必要になるのかを提案してもらえます。
経験豊富な業者であれば、理想としているデザインをより魅力的にするために、どのようなことが必要なのか具体的なアイディアを提案してもらえることもあります。
施工業者選びに迷った際は、今までの施工実績に注目して選んで見るとよいでしょう。
まとめ
美容室の開業に関する費用について紹介しました。
開業時には、坪単価で費用を計算すること、美容室のデザインを多く手がけている実績豊富な業者に依頼をしてください。
成功するためには、1社の内装業者に依頼をするのではなく複数の業者の中から検討するようにしましょう。
美容室の開業のお役に立てれば幸いです。