居酒屋の内装工事について解説!費用を抑える方法は?
更新日:2024.01.23
居酒屋の新規出店もしくは開業をお考えでしょうか?
居酒屋は飲食店の中でも最も人気のある業態と言え繁華街、歓楽街、商店街、横丁、駅前などにズラっと立ち並び、テナントの大半が居酒屋という建物も少なくありません。
またひとり飲みはもちろん、恋人や親友とさしで飲む、気が合う仲間で集まりグループ飲みをするほか、会社の行事、団体旅行、イベント、忘新年会、同窓会など数十人参加の大規模飲み会でも利用されています。
お酒を飲むとどうしても会話が弾むため、多くのお客様が1~2時間滞在し、なかには3時間以上、同じ店で飲む方もいらっしゃいます。
そのため居酒屋開業で成功するためには、お酒に合う美味しい料理を提供すればいいだけではなく、長時間滞在できるような内装が重要となってきます。
そこで今回は、居酒屋の内装工事の費用、物件や施工業者の選び方などについてノウハウをお伝えしていきます。
目次
居酒屋内装工事にかかる費用はどれくらい?
居酒屋内装工事費用を抑える4つの施策
居酒屋を開業、物件の選び方
居酒屋の内装工事を成功させるポイント3つ
居酒屋内装工事を実施するときの注意点
居酒屋内装施工業者の選び方
居酒屋の内装工事における資金調達方法
まとめ
居酒屋内装工事にかかる費用はどれくらい?
居酒屋の内装工事はどのくらいかかるものでしょうか…
正直それは借りようとする物件や開業しようとする居酒屋のコンセプト、オーナーのこだわりによっても大きく変わってきます。
この章では借りようとする物件によって内装工事坪単価がどう変わってくるのかを比較できるよう、ご案内していくことにします。
坪単価で見た内装工事費用
まずはスケルトン物件の坪単価と内装工事費用を一覧でご紹介します。
スケルトン物件の坪単価
スケルトンには骨組み、駆体という意味があります。スケルトン物件とは、わかりやすく表現するとまさしく箱だけで中身がない物件を指します。
街を歩いていると窓越しに見かけることがあると思うのですが、コンクリートむき出し、配管むき出しで何もない状態の空きテナントがスケルトン物件です。そのため
・0からお店づくりをしたい
・ここでしか味わえない世界観を生み出したい
・思いどおりのデザインを実現したい
そう考えているこだわり強めの新規オーナーに向いている物件です。
想像に容易いと思うのですが、それこそ0から100を築き上げていくため、スケルトン物件に居酒屋の内装を施す費用は
1坪あたり30~60万円
はかかると見ておく必要があります。
居抜き物件の坪単価
居酒屋は利用する方も多い分、競合店も多く存在します。そのためさまざまな敗因を喫し淘汰されてしまう居酒屋もあり、勇退を余儀なくされる店舗も少なくありません。
なかには現在こういったご時世ですから、経営難に陥りながらも好転するまでジッと耐え続けた結果、やはり廃業せざるを得なかったお店もあります。
スケルトン物件で借りた以上、返すときに原状回復義務があるのですが、その多くが解体費用を捻出できずスケルトンに戻せないため、物件オーナーや管理会社の承諾を得て、そのままの状態で次の借主を探してもらうケースも増えています。
それを居抜き物件といいます。
居抜き物件は状態によっては極論、借りた翌日からでも開業できるかもしれないほど、いろいろなものが残っています。
本来、新規オーナーが取り揃えるべき厨房機器、テーブル、イス、食器などもそのまま引き継げる場合もあるでしょう。
しかしコンセプトと合わせるため、こだわりを具現化するため、ガタついて使えない箇所を補修するためにある程度の内装工事は必要となります。そのため
1坪あたり10~35万円
くらいは予算として心積もりしておく必要があります。ただし通常、居抜き物件を借りる場合は、造作譲渡料が保証金(敷金・礼金)や賃料とは別にかかりますので、所有者や前借主との交渉が必須です。
工事内容で見た内装工事費用
20坪前後のスケルトン物件で居酒屋を開業しようとする場合、最低限これだけの工事費用がかかると見ておくといいです。
設計・デザイン・施工管理費 | 35万円~ |
造作工事(カウンター・棚など) | 85万円~ |
左官工事(床・壁) | 50万円~ |
塗装工事(天井・壁) | 30万円~ |
建具工事(ドア・窓) | 30万円~ |
店内・座席の間仕切り | 60万円~ |
トイレ(本体・洗面台など)※男女別 | 50万円~ |
水道・電気・ガス工事 | 160万円~ |
空調工事(空調機器、排煙設備設置) | 75万円~ |
防災工事(消火器・感知器・誘導灯設置) | 25万円~ |
トータル | 600万円~ |
※金額はあくまでも目安です
※物件の種類、広さ、状態などで前後します
空調工事では業務用エアコンのほか、焼き物や揚げ物を提供することが多い居酒屋では排煙設備はマストとなります。
また防災工事についても不特定多数の人が出入りするうえ、酔った状態のお客様が長時間滞在しますので、開業にあたり消防法に基づく対応が求められます。
例え小規模な居酒屋でも述べ面積に関わらず消火器の設置は必須(義務)となりますし、借りようとするテナントや建物全体の状態によっては避難器具の設置等も必要となります。
店舗が1階ではなく階上となる場合、有事の際、特に酔ったお客様が安全に階下に降りて避難できるような動線も用意しなければなりません。
そのため物件を借りる前に、できれば建物全体の情報を持参し、管轄消防署や消防本部に足を運び、どのような設備や対応が必要となるか説明を受け、把握しておくべきです。
居酒屋内装工事費用を抑える4つの施策
ここまで読み進め「たった20坪の居酒屋を出すのに内装だけで600万円もかかるのか」と内心ビックリした方も多いでしょう。
しかしここで得た知識をベースに工夫を加えることで内装費用は劇的に抑えることも夢ではありません。
内装広場がオススメする4つの方法は以下のとおりです。
・居抜き物件を利活用する
・予算の上限を決めておく
・リサイクル品も利用する
・複数の業者から見積もりを取る
どういうことか、詳しく解説していきます。
1.居抜き物件を利活用する
上記一覧表で示した内装工事費用は0から100を構築するスケルトン物件でかかると言われている金額の目安でした。しかし居抜き物件の内装工事坪単価目安は
1坪あたり10~35万円
で、20坪に直すと200~700万円となり、ガクンとコストカットできる計算になります。そのため居抜きを利活用することで、うまく内装工事費を抑えることができます。
ただし、ひとつだけ絶対条件があり、それはなるべくコンセプトに近い、イメージに近い、比較的状態がいい居酒屋の居抜きを探し当てることです。
なぜならカフェや喫茶店の居抜きを居酒屋に再生しようとすると、軽食を出す程度だった厨房ではなにかと手狭で物足りないからです。
結局、厨房を拡張することにしたり、新たに厨房設備を追加したりしなくてはならず、最終的にスケルトン物件で0からつくったほうが早くて安かったなんていうことも起こりえます。
一方で状態のいい居酒屋の居抜きなら、ちょっと内装工事を加えてキレイにすれば事足り、また比較的新しい
・厨房設備
・カウンター
・テーブルやイス
・大量の食器類
までもを引き継げるとなれば、造作譲渡料を支払ったとしても開業にかかる初期費用の大幅節約につながるレア物件といえますので、見つかったら早速、契約の検討に入られてほしいところです。
2.予算の上限を決めておく
現在、市場に流通しているほとんどの商品やサービスは私たちの財布の中身に応じて、さまざまな価格帯が用意されています。
内装工事も然りで、オーナーの懐事情をある程度、開示することで、親切なデザイン設計業者や誠実な内装工事業者なら、予算を汲み、その範囲でできないかを前向きに検討してくれるはずです。
ただただシンプルに「この予算内で」と伝えれば、業者側が予算内でできること、できないことを取捨選択し、
・材料
・工期
などでバランスをとり、予算に合わせようと動いてくれます。内装工事業者が勉強してくれた分、オーナー側もさらなる工夫をし、予算を節約したいものです。
3.リサイクル品も利用する
今は業務用品を取り扱うリサイクルショップが、全国どこにでも点在しています。
こういったお店の流通品は、飲食店がスケルトン物件に戻す際に査定依頼があり、実際に買い取られたもので、
・厨房機器
・テーブルやイス
・食器
については中古業務用品の購入使用を検討してみてください。このご時世ですから開店してわずかな期間で撤退してしまったお店から
・新品に近いもの
・状態がいいもの
・掘り出し物
が出ることもあります。
2号店の出店とかではないかぎり、開店当初から固定客がいるオーナーはほとんど皆無で、最初は内装工事中に新規開店を知り、興味を持った地域住民や、友人・知人が駆けつけご祝儀的に利用してくれると思うのですが、やはりお店が認知され、クチコミが広がり、固定客がつき始め、人気店となるまで時間がかかります。
そのため、かしこいオーナーは早期に初期費用を回収し、お店を軌道に乗せ、安定経営にシフトしていくために、すべて新品で揃えるのではなく中古品をうまく活用しているものです。
4.複数の業者から見積もりを取る
居酒屋を開業するために借りる物件が決まったら、いよいよ本格的に店舗のデザイン設計と内装工事の段取りをしていくことになります。
コンセプトやこだわり、予算の上限をお伝えしても、業者によってできること/できないことは異なりますし、経験値や技量も違います。極論、まったく別の店舗内装となりえますので、業者選びは大切です。
その業者をどのように選ぶかですが、複数の候補業者に問い合わせ、そのときの対応や提示を受けた見積書で判断していくしかありません(詳細は後述)。
複数の業者にいくらでやってもらえるか見積書を取ることを、相見積もりといいます。
私たちがインターネットでamazonではいくら、楽天ではいくら、公式HPや店頭ではいくらだったなど常日頃、何かを購入するときにはどれがオトクか、無意識に比較しているそれに近いです。
内装工事に関わる業者は
・建築士事務所(デザイン設計業者)+○○工務店(内装工事部門)
・○○建設(営業+デザイン設計+施工管理)→下請け内装工事業者
といった感じで、デザイン設計業者と内装工事業者を別々に探し依頼するケースと、デザインから内装まで一気通貫的に行ってくれるケースがあります。
もちろん前者でも、お互い懇意にしている業者どうしでチームを組んで仕事を受けている場合があり、建築士事務所が窓口となって、内装工事業者の手配や支払いを行ってくれるはずです。
本来かなり面倒な作業なのですが、デザインに惚れた建築士がいる、地域No.1の内装工事業者がいるとかではないかぎり、必ず相見積もりを取り、相場を知ることで居酒屋の内装工事費用を抑えることができます。
店舗内装も今ではネットで、カンタンに複数の見積もりが取れたりしますので、そこで探してみられるといいです。
居酒屋を開業、物件の選び方
1.駅やバス亭が近い物件を選ぶ
電車やバスで行き帰りできることが、居酒屋の立地の絶対条件です。
かつては広大な駐車場にポツンと建つ居酒屋が全国各地で流行した時期もありましたが、居酒屋開業を考えている人はこの条文を頭に置いておく必要があります。
道路交通法「酒気帯び運転等の禁止」
第65条 第1項
何人も、酒気を帯びて車両等を運転してはならない。
第65条 第2項
何人も、酒気を帯びている者で、前項の規定に違反して車両等を運転することとなるおそれがあるものに対し、車両等を提供してはならない。
第65条 第3項
何人も、第一項の規定に違反して車両等を運転することとなるおそれがある者に対し、酒類を提供し、又は飲酒をすすめてはならない。引用:警視庁 飲酒運転の罰則等
駐車場付きの物件を借りない、電車・バスで行き来できる場所にお店を構えることで、飲酒運転の事案に意図せず巻き込まれることを防げます。
電車やバスでの来店を呼びかけるほか、店内にタクシー会社、代行運転業者の電話番号を貼っておくのも自己防衛策になりえます。
2.人通りの多い場所にある物件を選ぶ
いくら駅やバス亭が近い場所でも人通りがなければ来店が見込めず意味がありません。特に夜の時間帯に人通りの多い場所にある物件を選びます。
例えば冒頭でお伝えしていたように繁華街、歓楽街、商店街、横丁、駅前のほか、ビジネス街・大学・ホテルのそば、商業施設内などの空きテナントを探すようにします。
3.居酒屋の多い場所の物件を選ぶ
昔から日本には『はしご酒』という文化があり、1次会のあとお店を変えて2次会、3次会、終電を逃して4次会、5次会へと歩を進め、始発で帰る。そんな経験をされてきた方も少なくないと思います(居酒屋を経営しようとするくらいですからお酒も飲まれますよね)。
周辺に居酒屋がなければ、1次会のお客様を独占できるかもしれませんが、2次会、3次会のお客様の来店は見込めません。
深夜まで営業して、回転を増やし、収益を高めたいならやはり、敢えて居酒屋がひしめき合う激戦区にお店を出して、勝負されたほうが勝率は上がりやすくなります。
4.デザイナーズ居酒屋ならスケルトン物件を選ぶ
夜景が見えるオシャレなバル、ラグジュアリー空間で高級食材を提供するダイニングバーなど、いわゆるデザイナーズ志向のオーナーは、スケルトン物件で0からつくりあげたほうが、無難です。
居抜き物件には前のオーナーのこだわりが強く入っていて、ジャマな部分は結局、解体・撤去することになりますので、かえって出費増となりえます。
オシャレな居抜き物件はそうそうないので、スケルトン物件を探していきましょう。
5.コンセプトが似た元居酒屋物件を選ぶ
もしもこれから開業しようとする居酒屋のコンセプトに合いそう、イメージに近い物件が見つかったのなら、ライバルに取られる前にその居抜き物件に決めてしまいましょう。
もちろん先述したとおり選ぶべきは、直前に『居酒屋』だった居抜き物件です。
契約前に必ず厨房機器、イスやテーブル、食器類もよく確認し、まだまだ使えそうなら造作譲渡料を支払って引き継ぐようにします。
厨房機器のことがわからなければ、前借主から操作方法を教わって一緒に動作確認をするか、専門業者に依頼して点検してもらうといいです。
故障している、あまりにも古すぎるなど難ありで使えないものも混じっていたなら、ダメもとですが造作譲渡料の減額交渉はしてみる価値があります。
居酒屋の内装工事を成功させるポイント3つ
内装工事を失敗に終わらせないためには、物件選びの段階から
・コンセプト
・客層
・照明設計
をきちんと押さえておくことです。
1.コンセプトを考えよ
おそらく居酒屋を開業しよう、経営しようと考えるくらいですから、ご自身もお酒や居酒屋が好きな方だと思います。
そのため行きつけや、よく行く居酒屋で発想を得て、だいたいのコンセプトは決まっているのではと考えます。
ちなみに居酒屋のコンセプトはこのような感じで分類できます。
大衆酒場 | 一般的なお店 カウンター・テーブル・イス・座敷
お酒、刺身、サラダ、揚物、焼物などさまざまなメニューを用意 |
個室居酒屋 | 完全個室のお店 テーブル・イス・座敷
メニューは大衆酒場と同じ |
立ち飲み | カウンター・テーブルのみ
イスに座らず立ったまま飲食 |
角打ち | 簡易的なテーブルとイス
酒屋で購入したお酒を持ち込み可とし料理のみ提供 |
ダイニングバー | オシャレなインテリア内装
凝った料理を提供 |
隠れ家 | 外観からはまったく居酒屋とはわからない
一戸建てや古民家を利用 |
また提供するメニューによってもコンセプトは分けられます。
焼鳥屋 | 焼き鳥を中心としたメニュー |
おでん屋 | おでんを中心としたメニュー |
もつ焼屋 | もつ焼を中心としたメニュー |
海鮮居酒屋 | 主に刺身、煮魚、焼魚を提供 |
郷土料理専門店 | 地元食材を使う、国内外の郷土料理に特化したメニュー
きりたんぽ鍋、おばんざい、もつ鍋、馬刺し、沖縄料理など |
バル | ワイン・カクテルと洋食を提供 |
例えば焼鳥屋、もつ焼屋なら排煙設備を強化しなければならないですし、おでん屋ならコンビニレジ前で冬の時期に見かけるような大きな電気おでん鍋とそれを置くスペースも必要です。
つまりコンセプトと客層を先に決めてからデザイン設計を依頼しないと、お店の雰囲気とメニューが合わない、居心地のよくない居酒屋ができあがり、開店早々、不人気店となってしまう可能性があります。
2.客層を決めよ
開業にあたり、どうしてもコンセプトが思い浮かばない場合は、客層を絞ると明確になります。
20歳以上の男女分け隔てなく、みんなに楽しんでもらいたいなら大衆酒場。団体客以外なら個室居酒屋もしくは小規模の居酒屋。記念日を祝う恋人どうし・夫婦や富裕層対象ならダイニングバーや隠れ家。同郷の人に集まってもらいたいなら郷土料理専門店。女子会やプチ同窓会などグループ飲みを狙うならバルといった感じです。
コンセプトが明確になればおのずと立地、物件、内装の方針が固まるはずです。
3.照明設計が成功を左右する
厨房はもちろん調理、盛り付けといった作業を行う場ですので、食材の状態や焼き加減を視認するために明るめの照明が望ましいです。
一方で外観やホールの照明は、お客様のことを考えた照明設計が肝要となります。
夜道を歩いているときを思い出していただきたいのですがヒトは、暗いところから明るいところに向かおうとする習性があります(サバンナ効果)。そのため居酒屋の入り口には照明看板、明かりのついた提灯が置かれ、光が漏れるガラス戸になっていたりします。
料理の腕に自信があり、とにかくおいしく食べてほしいというコンセプトなら比較的明るめの照明設計をします。
ゆったりとお酒を飲み、まったりと会話を楽しんでほしいというコンセプトならリラックスできる空間演出が大切で、比較的照度を落とした照明設計をします。
照明が暗すぎると料理がおいしく感じられず、明るすぎるとリラックスできず、早々と退店されてしまうことにつながり、「次はないよね」と思われながらお客様がお店をあとにする残念な結果を生み出してしまいかねません。
ここまでお伝えした上記3つのポイントを踏まえ、内装工事へと進んでいただければ幸いです。
居酒屋内装工事を実施するときの注意点
1.開業時は内装工事以外の費用も用意しておく
スケルトン物件の内装工事費用には、
・厨房設備
・インテリア
・小物類
・大量の食器
・POSレジ
の代金は含まれていません(これらを内装工事業者が手配する場合は代金追加請求されるケースはあり)。またプレオープン、開店初日までに酒類、食材を仕入れ、ユニフォームやエプロンなども用意しなければなりません。
そのため内装工事費用の倍か、それ以上の資金を確保しておかなければ、軌道に乗るまでの営業継続が難しくなります。
2.酔客を意識した内装にする
飲酒運転が禁じられている理由はアルコールで正常な能力を一時的に失うからです。酔うと階段を踏み外したり、何もないところでも転倒したりしやすくなります。
トイレに行く途中や退店時に事故が発生し、造作物などに原因があれば、お店が責任を問われます。
そのため階段に手すりを付ける、すべりにくい床材を選ぶ、意味なく段差を設けないなどバリアフリーを意識した安心、安全なお店づくりをされたうえで、オーナーのこだわりを実現いただきたいです。
3.現場には足しげく通う
設計デザインと内装工事が別々の会社だった場合、よく起こりえるトラブルが設計デザインと仕上がりが大きく乖離するというものです。
あくまでも仮の話ですが設計図に明記されている厨房の流水式手洗い設備が、現場で勝手に省かれたとします。結果その設備を追加工事するまで飲食店営業許可が下りず、開店できなくなる可能性も出てきます。
また照明の数を勝手に減らされていないか、器具も発注どおりかチェックを忘れないようにしましょう。照明が暗すぎるのは居酒屋としては致命的なエラーとなりえます。
決して業者任せにせず、こまめに足を運んで設計デザインや工程計画どおりに工事が進んでいるか、オーナー自ら積極的に確認したいものです。
居酒屋内装施工業者の選び方
1. 複数の業者からの見積書を比較する
知り合いに建築士、建設会社社員、内装工事業者がいるのなら、そこに依頼するのもいいのですが、先にお伝えしたように(物件の周辺にある)複数の業者に問い合わせて見積書を出してもらったものを比較し、選定します。
相見積もりのメリットは相場がわかることと、価格交渉の材料にできることですが、あまりにも安く買い叩くと、与り知らないところで安価な材料を使われる、工期を短縮され手抜き工事をされるなどし、結果チープな仕上がりとなり、コンセプトやこだわりを具現化できないおそれも出てきます。
そうならないよう最安値よりも平均値に近い業者を選んだほうがいいです。
また見積書に「一式」と書いて出してくる業者はいい加減で、不誠実なため候補から外すようにしましょう。
見積書に摘要と金額が細かく明記されており、かつ終始、対応が丁寧で誠実に感じる業者だったなら、どこを選んでも間違いなくいい仕事をしてくれるはずです。
2. 居酒屋内装施工実績がある業者に依頼する
ここまでお伝えしてきたように
・食品営業許可
・消防法
・照明設計
・酔客を意識した内装
などは、居酒屋内装施工実績がある業者なら心得ていますので、失敗することはないと考えます。また居酒屋の魅力のひとつでもあるカウンターもコンセプトに合わせてうまく造ってくれるはずです。
全国津々浦々、多くの居酒屋が街中にあふれかえっていますので絶対、居酒屋内装施工実績のある業者は見つかると考えます。
ちなみにネットでカンタンに探す方法はこちらです。
居酒屋の内装工事における資金調達方法
居酒屋の内装工事には、1坪当たりおおよそ30~60万円程度の費用がかかります。
開業後のランニングコストを考慮して、少しでも費用負担を抑えたいと考えているかたもいるでしょう。
ここからは、居酒屋の内装工事における資金調達方法を紹介していきます。
金融機関から融資を受ける
内装工事の資金調達を行いたい方は、金融機関からの融資を検討してみましょう。
初めての開業を行う場合、オススメの金融機関は公庫です。
公庫とは国が100%出資して運営している公的な金融機関であり、金利が抑えめという特徴があります。
銀行よりも審査は通りやすい点も、公庫で融資の申請をするメリットです。
注意点として、審査が通りやすいとはいえ、必ずしも融資を受けられるわけではありません。
公庫による融資は、国民の税金によって賄われているため、安易に融資を行うことはできないでしょう。
公庫から融資を受ける際には、具体的な事業計画を策定しておくことがポイントです。
想定される利益などを算出して、第三者から見ても信用できる計画書を造りましょう。
補助金・助成金による支援を受ける
居酒屋の内装工事では、条件を満たし審査を通過することで申請できる補助金・助成金があります。
募集要項などを確認して、自身が該当しているかを調べて見ましょう。
居酒屋の内装工事で使用できる補助金・助成金の例として、以下の2つを紹介します。
- 業務改善補助金
- 小規模事業者持続化補助金
業務改善補助金
業務改善補助金とは、業務効率化に必要な費用を支援することで、最低賃金の引き上げを図るために設けられた補助金です。
補助対象は、業務の効率化を図れる設備の導入費や、人材育成にかかる費用などが該当します。
補助上限額は従業員数によって変動し、最大で600万円の支援を受けることができます。
参考:厚生労働省 業務改善助成金:中小企業・小規模事業者の生産性向上のための取組を支援
小規模事業者持続化補助金
小規模事業者持続化補助金とは、小規模事業者の生産性向上をサポートするために設けられた補助金です。
居酒屋を含む飲食店の場合、従業員数は5名以下であれば小規模事業者に該当します。
申請を受ける際には、事業を見直して持続できると判断される経営計画を策定する必要があります。
補助上限額などは申請枠によって異なり、通常枠では50万円までの支援を受けることが可能です。
参考:商工会議所地区 令和元年度補正予算・令和3年度補正予算 小規模事業者持続化補助金(一般型)
まとめ
スケルトン物件の坪単価は1坪あたり30~60万円、居抜き物件の坪単価は1坪あたり10~35万円が相場です。
・居抜き物件を利活用する
・予算の上限を決めておく
・リサイクル品も利用する
・複数の業者から見積もりを取る
ことで内装工事費用を節約することができます。内装工事を成功させたいなら、事前に
・コンセプト
・客層
を決め、照明設計に最大限、配慮します。なによりも飲食店の中では最も酔客が集まる場所です。事故が起きないように避難経路をわかりやすくする、バリアフリー化することなども検討いただきたいです。
完成してから、開店してから、後悔しない居酒屋づくりを目指しましょう。