喫茶店・カフェの内装工事について解説!費用を抑える方法は?
更新日:2024.01.23
目次
内装工事にかかる費用はどれくらい?
内装工事の費用を抑えるには?
内装工事を成功させる方法4選!
施工業者に依頼するときのポイント
内装工事を実施するときの注意点
開業する際の資金調達方法
まとめ
内装工事にかかる費用はどれくらい?
喫茶店・カフェの内装工事を検討中ですか?
このページでは費用や施工業者に依頼するときのポイント、実施時の注意点など成功させる方法も交えお伝えしていきます。
喫茶店・カフェの内装工事費用は正直、オーナーのこだわり、物件の広さ、築年数、入居前の状態などによってピンキリです。
オーナーの内装へのこだわりが強く、物件が広く、築年数が古く、スケルトン物件だった場合、内装工事の費用は高くなる傾向があります。内装工事は本来
喫茶店・カフェ専門業者
に依頼するのが理想的です。
坪単価で見た内装工事費用
スケルトン物件の坪単価
街ナカでテナント募集の空き物件を見かけたことはあると思いますが、なかでもスケルトンは何もない状態の物件であり、コンクリートが剝き出しで床・壁・天井はもちろん厨房設備もまったく存在しない物件をいいます。
客席20前後の10坪程度の喫茶店・カフェを開業予定の場合、何もない状態から内装工事を行うのであれば300~600万円は見ておくべきです。
なぜなら10〜30坪のスケルトン物件で、1坪あたり30〜60万円が相場とされているからです。
喫茶店・カフェは食品営業許可が必要です。建築士や大工などは心得ていると思いますが、シンクの大きさが基準を満たしていないと開業できないだけではなく、造り直さなければならなくなりますので細心の注意が必要です。
ちなみに原則45㎝×36㎝×18㎝以上のシンクが2槽以上必要となります。スケルトン物件の場合、内装工事に入る前に必ず保健所への事前確認が必須です。
居抜き物件の坪単価
居抜き物件とは、前の借主が原状回復しない、スケルトンの状態に戻さないことをオーナーが了承してそのまま次の借主を探している物件です。
前の借主が喫茶店・カフェをしていた場合は、そのまま使える可能性があります。
ゼロから内装工事をしなくていいため費用は、1坪あたり10~30万円ほどで済むといわれています。ただし居抜き物件を借りる場合は別途、前の借主がお金をかけて造った内装を引き継ぐために『造作譲渡料』を支払うのが慣習となっています。
開業にあたり決めていたコンセプトに近い物件、こだわりも満たしてくれるような物件が居抜き物件にあれば、それを借りるのがかしこい選択かもしれません。
ただし前の借主が長く営業していた場合、厨房設備一式が老朽化し、使いにくくなっている場合がありますので可能なら一度、専門業者に点検してもらい、このまま使用していいかなどの意見を聞くといいです。
工事内容で見た内装工事費用
約10坪のスケルトン物件の場合、ホントにゼロからのスタートになりますので、以下のような工事と費用が想定されます。
設計・デザイン・施工管理費 | 25万円~ |
造作工事(カウンター・棚など) | 65万円~ |
左官工事(床・壁) | 15万円~ |
塗装工事(天井・壁) | 20万円~ |
建具工事(ドア・窓) | 20万円~ |
店内の間仕切り | 15万円~ |
トイレ(本体・洗面台など) | 20万円~ |
水道・電気・ガス工事 | 75万円~ |
空調工事(空調機器・ダクト) | 25万円~ |
防災工事(消火器・感知器・誘導灯) | 20万円~ |
トータル | 300万円~ |
※金額はあくまでも目安です
※物件の種類、広さ、状態、物価などでも前後します
空調工事とは通常、業務用エアコンやダクトの導入・設置のことで今のご時世、夏は猛暑になりますし、感染対策等で換気が欠かせませんので、必須です。
また防災工事についても喫茶店・カフェでは間違いなく調理で、火を使いますし、不特定多数の人が出入りします。そのため開業にあたり消防法についても遵守が求められます。
述べ面積に関わらず消火器の設置は必須(義務)となるほか、借りようとするテナントや建物全体の状態によっては避難器具の設置等も必要となります。そのため物件を借りる前に、可能なら建物全体の情報を持参して管轄の消防署、消防本部にどのような設備や対応が必要か事前相談に行くといいです。
内装工事の費用を抑えるには?
前章で300万円はかかりますよとお伝えした内装工事費用ですが、かしこくポイントを押さえれば、費用を抑えることも夢ではありません。たとえば
・物件はスケルトンより居抜きを選ぶ
・予算の範囲内で妥協する
・中古設備でもよしとする
ことで、かしこく開業日を迎えられます。以下、詳しく見ていきましょう。
1.居抜き物件を利用する
うまくいかなかった飲食店が閉店を決めたものの撤去費用を出せず、所有者や管理会社に居抜き物件として入居募集をかけてもらうケースがあります。このご時世ですので居抜き物件は意外と出回っています。
喫茶店・カフェを開業したいと友人・知人に漏らしておく、早め早めに不動産屋の門を叩き相談しておくことで、ベストタイミングでこれから閉店を予定しているお店の人と引き合わせてもらえて、造作物譲渡の話し合いができ、そのまま交代するかたちで入退去できるケースもあります。
また運がよければ前の借主がこだわり抜いたオシャレな内装を施した喫茶店・カフェが居抜き物件として登場することもありえます。稀に高価なエスプレッソマシンも残っていて、厨房機器だけでなく食器類、空調、消火器、避難器具もそのまま引き継げ、内装工事も最低限で済みますので、根気よく探されるといいです。
ただし同じ飲食店だからといって居酒屋などの居抜き物件を選ぶと、焼鳥器やサラマンダー、フライヤーなど明らかに不要なものを撤去しなければならず、しかも撤去費用が別途かかりますので、できるかぎり喫茶店・カフェの居抜きを探しましょう。
2.予算の上限を決めておく
開業前後には内装工事費用のほか、保証金・敷金・賃料・共益費など物件を借りるための費用、インテリアや食器といった備品費、パートやアルバイトの人件費、水道代・電気代・ガス代といった公共料金もかかります。
そのため開業しようと思っている多くの方が自己資金を貯めて、残りは親兄弟や親戚から借りたり、国や銀行の融資制度を利用したりしようと考えます。
日本政策金融公庫や取引予定銀行に開業計画書を出す予定がなくても、本気で開業するつもりであれば、あらかじめネットやカタログを見て予算がどのくらいかかるか調べ、ある程度どの項目にどのくらいお金を出すか決めておくべきです。
結果、割り出した各項目の予算上限に基づいて内装工事費も決め、建築士事務所や内装工事業者に「この予算で」とお伝えすれば、可能なかぎり相談に応じてくれるはずです。
3.中古の設備も利用する
冷蔵庫・冷凍庫・製氷機といった厨房機器について、すべて新品の設備を購入・用意できるなら、それに越したことはありませんが、いざ喫茶店・カフェを開業してみると、エスプレッソマシン以外、思ったよりも使う場面がなかった、もう少し小さなサイズでも全然問題なかったなど、多額の出費をしただけにあとあと後悔してしまう場面も少なくありません。
厨房機器メーカーの営業に勧められるまま新品を購入するのではなく、かしこく考えて取捨選択をすべきです。
また各地に、厨房機器のリサイクルショップがありますので一度、お店に足を運ばれて掘り出し物がないかを見てみるといいです。
このご時世ですから新古品がリサイクル市場で流通していたり、運がよければ想定の半値で購入できたりする場合もあります。
また必ずしも業務用の厨房機器でないと開業できないということでもありませんので、一部、家電量販店でより専門的な機械を探してみるのもいいでしょう。
4.こだわるポイントを明確にする
自分のお店となる喫茶店・カフェ。このようにしたいというこだわりはありますか?たとえば
・大きな天然木一枚板のカウンター
・壁面に飾る大きなステンドグラス
・北欧建材メーカーから輸入するドア
などオーナーのこだわりはさまざまです。しかしあれもこれもとこだわりすぎると予算超過するのは目に見えています。
そこでまずは、数あるこだわりポイントについて『これだけは譲れないランキング』をつけてみてください。そうすると
・お金をかけるべき項目
・妥協すべき項目
が見える化して、予算組みがしやすくなります。
今回はランキング1位に輝いた「大きな天然木一枚板」に予算を集中させ、ステンドグラスはサイズダウンさせる、国産の北欧風ドアで妥協するなどして、費用を安く抑えるようにします。
諦めると考えるのではなく喫茶店・カフェが軌道に乗り、ストックが増えたときに改修しようと決めてこれからの楽しみとして残しておくと、開業後の経営へのモチベーションに直結します。
5.複数の業者から見積もりをとる
かしこい喫茶店・カフェ開業のコツのひとつが『相見積もり』です。近隣の内装工事業者を片っ端から調べ、複数の見積もりをとるのです。
その際、暗に「他社にも見積もりをお願いしている」「他社と比較検討して決める予定です」と漏らすことで、業者もふっかけにくくなります。
そして選定の際は、最安値を選ぶのもひとつの方法ですが、オススメできない場合があります。それは見積書の内容が一式と書かれている場合です。
一式と書くような業者はどのような内装工事をするかわからず、適正価格かどうかも判断できないからです。
見積書に工事内容が細かく明記されていてかつ電話対応なども丁寧な印象があった業者なら「安かろう悪かろう」とはならないはずです。
友人や知人が内装業者で「“友だち価格”でやってやるよ」と申し出があった場合、持ちつ持たれつの仲で多少ふっかけられてもいいのであれば話は別ですが、相見積もりをとっていれば「他社はこういう値段でやっているらしい」「もう少し安くならない?」と価格交渉材料にできるのも相見積もりのメリットです。
内装工事を成功させる方法4選!
喫茶店・カフェの内装工事を成功させる方法として、
・コンセプトを決めておく
・客層を選定しておく
・周辺競合店をリサーチする
・小物も内装コンセプトに合わせる
の4つは最低限、押さえておくことをオススメします。
この4つを実践するだけで、きっと理想どおりの喫茶店・カフェができあがるはずです。
1.どのような喫茶店・カフェにしたいのかを考える
喫茶店・カフェ開業に向け、強いこだわりを実現しようとされている方なら、もうどのようなお店にしたいのか決まりかけているでしょう。
しかし具体的なコンセプト策定はこれからで、どのようなお店にしようか、まだ明確に決まっていない方も少なくないはずです。
近年、喫茶店・カフェも多様化しており、ここでは内装工事に大きく関わる時代設定と会計システムについて見ていきます。
時代設定
和風、洋風、和洋折衷のほか喫茶店・カフェのコンセプトに時代設定を取り入れるお店も少なくありません。よく用いられる時代設定は大正ロマン、昭和レトロです。
時代設定は内装工事で再現するほかありませんが、
・築年数が古い物件
・(できれば)当時からある物件
を借りれば内装工事費もある程度、節約できるかもしれません。
会計システム
会計は前払いか、後払いかを内装工事前に決めておく必要があります。なぜなら会計システムでお店の設計デザインが大きく変わるからです。
前払いはキャッシュオンデリバリーともいい、お客様が入店時、席を確保して最初にカウンターに向かい注文して支払いを終えて、その場で商品を受け取ります。
後払いはオーナーやスタッフが席まで出向き、注文を取って商品を運び、お客様がお店を出るときに会計をする昔ながらのシステムです。
前払いであれば、会計後スグに商品を手渡せるカウンターを造らなければなりませんし、後払いであれば退店時、速やかにレジが打てるカウンターを設置しなければなりません。
2.ターゲットにする客層を決める
客層は
・老若男女分け隔てなく
・コーヒーの味がわかる人だけ
・ビジネスマン中心
・高校生・大学生中心
・主婦・子育て世帯中心
・落ち着いた世代中心
などと分けられるでしょう。またターゲットから決めると下記のとおりおのずと立地やコンセプト、メニューも確定しやすくなります。
老若男女分け隔てなく→繁華街
コーヒーの味がわかる人だけ→古民家
ビジネスマン中心→ビジネス街
高校生・大学生中心→高校・大学の近く
主婦・子育て世帯中心→幼稚園・小学校・中学校の近く
落ち着いた世代中心→住宅街
繁華街は常に人が行き交いますので宣伝・広告をしなくても集客が見込め、繁盛しやすいのが特長ですが、その分家賃も高く、多忙で仕事に追われますし、パート・アルバイトも相当数必要です。
ビジネス街もまた平日を中心ににぎわいますが、土日祝日は閑散としがちです。こちらも家賃高めです。また休憩だけではなくビジネスマンどうしの商談や長時間の打ち合わせに使われることがあるため比較的、平均滞在時間が長く回転しにくい傾向があります。
住宅街は土日祝日が比較的忙しくて、平日昼間はゆったりとした時間が流れがちです。また地域の住民しか訪れない可能性があります。
古民家を借りて隠れ家的に喫茶店・カフェを開業している人も少なくありません。知る人ぞ知るお店で、なかには完全予約制のお店もあります。
ゆっくりとコーヒーを淹れたい、丁寧に接客がしたい、常連やファンに愛されるお店にしたい方に住宅街や古民家は向いています。
3.周辺のカフェもチェックしておく
先述のとおり客層ターゲットが決まったら立地やコンセプト、メニューも確定し、なかには物件から逆算して客層ターゲットやコンセプト、メニューを後づけされる方もいるかもしれません。どちらにしても確定前に今一度、確認すべきなのが競合店となる周辺の喫茶店・カフェなのです。
スグにリサーチできる方法はGoogleマップの活用です。所在地、営業時間、電話番号、サービスオプションと共にメニュー、評価やクチコミもチェックできます。
特に目ぼしい物件の近隣店には足を運び、客層ターゲットは合っているか、コンセプトかぶりはないか、おいしさで勝負して勝てるかを確認します。
また似たような内装・コンセプトにならないよう、指摘されないように競合店は設計デザイン確定前にしっかりと自分の目で見ておくべきです。また競合店にないメニューを取り入れるとお店の強みとなります。
4.コンセプトに合う小物を揃える
内装広場ではお店の内装工事後に置く小物類もお客様にコンセプトをご理解いただくための大切なパーツと考えています。
たとえば高級志向というコンセプトなのに安そうなコーヒーカップ、逆に低価格を打ち出しているのに高級そうなコーヒーカップだとお客様に不安や違和感を与えかねません。
そのためコーヒーカップやソーサーもお店のコンセプトに合わせて統一させたものを選択・購入したほうが無難でしょう。
そしてコーヒーミル、ドリップマシン、コーヒー豆、コーヒーカップやソーサーも敢えて隠すのではなくカウンターの後方などに飾ることで、入店いただいた瞬間にコンセプトを一目でお客様にご理解いただけるだけではなく、ガラス窓越しに入店しようかどうか悩まれている方に挽きたての豆の香りとともに「コーヒー飲みませんか?」と嗅覚と視覚で訴えることができます。
やはりコンセプトに合う小物を揃えるのは内装工事と同じくらい重要なのです。
施工業者に依頼するときのポイント
施工業者に依頼する際「何もわかりませんのですべておまかせ」というスタンスだと、相場を明らかに超えた法外な見積もりを提示されたり、勝手に追加工事されたり、最終的に多額の内装工事費を請求されて喫茶店・カフェの運営資金がなくなるおそれもあります。
ここでぜひさまざまな知識を身に着けていただき、事前打ち合わせなどでチラつかせながら、施工業者の好きにさせないように振る舞う、依頼するのが最大のポイントです。
そのほか、ここでは3つのポイントをお伝えします。
1.工事にかかる期間を把握する
内装工事にかかる期間はスケルトン物件なら1カ月ほど見ておくといいでしょう。居抜き物件であれば工期は若干、短縮される傾向にあります。
ただし物件の広さや条件によって前後するほか、人気の内装工事業者なら日程空き待ち、建材の輸入・パーツの取り寄せに時間がかかることもありえます。
設計デザインと内装工事は基本、それぞれ別の専門業者が請け負うことになりますが、実際の設計デザインと内装工事後の仕上がりが異なるといった予期せぬトラブルを回避するため可能なら
・仲の良い内装工事業者と手を組んでいる建築士事務所
・設計デザイン部門を持っている内装工事業者
に依頼すると何かとスムーズです。
開業を急いでいる方ほど工事期間短縮にこだわりがちですが、急かすと突貫工事になったり、いわゆる特急料金を請求されて、理想とかけ離れたお店づくりとなってしまう可能性もあります。
ひとついえることは早め早めに設計デザインを依頼し、余裕をもって内装工事をお願いすることが開業成功のカギです。
2.アドバイスをしてくれる施工業者を選ぶ
「喫茶店・カフェのデザイン設計と内装工事をお願いしたい」と相談したときに、ニコニコしながらうんうんと話を聞いてくれるだけの施工業者は正直、二流です。
うんうんと話を聞いたあと「ここはこの建材を使ったほうがいい」「ここの間仕切りはしないほうがいい」「予算設定が甘い気がする」などこれまでの経験を糧にきちんと提案や助言をしてくれる施工業者が一流です。
ときには断られるかもしれないと覚悟して、厳しい指摘をしてくれるところもあるでしょう。
まだ契約前なのに、契約金も支払っていないのに、親切に厳しくアドバイスしてくれる施工業者は間違いなく貴重ですし、不誠実なワケがありません。丁寧にそして確実にいい仕事をしてくれるはずですから、安心して依頼されていいのではと考えます。
3.実績が豊富な施工業者に依頼する
前項でお伝えしたように何かとアドバイスしてくれる施工業者なら、間違いなく喫茶店・カフェの内装をいくつも手がけ、ノウハウやケーススタディも蓄積されているはずです。
提示した予算で、できることとできないことを瞬時に区分けし、ハッキリと言われるでしょうし、スタッフやお客様の動線についても打ち合わせで間違いなく触れるでしょう。
しかしホームページ中にいくら探しても喫茶店・カフェの施工例が見当たらない、やりとりしていてもそのような話が出ない場合は、業者に実際に担当した施工例をストレートに聞いてみるようにします。
教えてもらった施工例をいくつか見れば、完成したときのイメージが掴めますが、実際に喫茶店・カフェの施工例がない場合で、役に立ちそうなアドバイスすらしてもらえそうになければ候補から除外しましょう。
ただし見積もりだけはいただき、他の業者との価格交渉の材料として使うようにします。
いずれも喫茶店・カフェの内装工事実績がある場合で、どの業者に依頼するべきか迷ったときには、実績数を確認し、判断するのも一手です。実績の数だけノウハウやケーススタディが蓄積されていますので、こだわりや要望を忠実に再現してくれる可能性が高まります。
依頼する業者に迷ったときは、豊富な実績に着目するようにしましょう。
内装工事を実施するときの注意点
設計デザインの工程を終えたら、内装業者にバトンが渡ります。施工開始日も決まっていよいよ内装工事に入ることになるのですが、内装工事実施時に喫茶店・カフェのオーナーとして注意すべきことは、
・費用
・現場
・動線
です。順に見ていきます。
1.開業時は内装工事以外の費用も用意しておこう
ここまで内装工事について詳細をお伝えしてきましたが喫茶店・カフェの開業時、必要となる工事は内装だけではありません。通りに面したお店なら必要に応じて外装工事も別途必要となります。少なくとも看板は設置しなければなりません。また古民家を利用したお店なら玄関アプローチまでの歩道に飛び石を置いたり、舗石タイルを敷き詰めたりしてお客様が入りやすい環境を造る費用も必要となります。これは石工事業者に依頼することになります。
またコーヒーミルや食器類はもちろんテーブル・ソファ・チェアもインテリア専門店で購入する場合は別途、費用が必要となります。
中盤でお伝えしたように開業前後には内装工事費のほか物件を借りるための費用、備品費のほか人件費、公共料金といったランニングコストもかかりますので、余力を残しつつ、かしこく内装工事を発注したいものです。
2.現場にはこまめに足を運ぼう
もしも設計デザインと内装工事が別々の業者だった場合、気をつけるべきは設計デザインに忠実に内装工事を実施しているかどうかです。
あれほど口を酸っぱくしてお伝えしたこだわりポイントだったのに、これだけは譲れないと強調していたのに、工事完了後チェックすると、設計デザインとは大きく異なる仕上がりで、理想どおりにならなかったというトラブルもよく耳にします。
そうならないよう現場にはこまめに足を運ぶのです。
いつ来るかわからないと思わせることで、業者は細かいところまで気が抜けなくなりますし、途中で設計デザインと乖離していることに気がつけば、軌道修正でき、イメージに近いところまで戻せる可能性が高くなります。
内装工事が始まったら、自分のお店は自分が守らなくてはなりません。そのためみずから足しげく通って監視の目を光らせましょう。
3.動線を意識したレイアウトにしよう
中盤で2つの会計システムを説明しましたが、スターバックスなどに代表されるキャッシュオンデリバリー(前払い制)を導入した場合は基本的にお客様が動きやすいレイアウトにします。
・入り口からカウンターに向かう動線
・カウンターから席にコーヒーを運ぶための動線
・お手洗いへの動線
などで、特に別のお客様が通るたびに席についているお客様が不快にならないように考えなければなりません。
また多くの飲食店が導入している後払い制のお店の場合は、店員が動きやすいレイアウトにします。
・厨房から席までの動線
・厨房からレジカウンターまでの動線
店員が通るたびに席についているお客様が不快な思いをしないよう、またお客様が店員とすれちがう場面で、パーソナルスペースに入らないような距離感を設定できると尚いいです。
開業する際の資金調達方法
喫茶店やカフェを開業する際は、おおよそ数百万円の費用が発生します。
資金の負担を抑えたいと考えているときには、融資や補助金の活用といった方法が挙げられます。
ここからは、喫茶店・カフェの開業における資金調達方法を紹介します。
公庫などから融資を受ける
喫茶店・カフェの内装工事をする際には、審査を通過することで公庫などから融資を受けることができます。
公庫からの融資は、民間の金融機関と比べると審査がと入りやすいという特徴があります。
しかし、返済の目処が立っていないとみなされてしまうと、審査を落ちてしまうこともあるでしょう。
公庫の審査を通過するためには、より具体的な事業計画を設けておくことが大切です。
年間に売り上げられる利益などを想定し、いつまでに返済を終わらせられるかなどの目処をつけておきましょう。
補助金や助成金を申請する
喫茶店・カフェの開業や内装工事を行う際には、条件を満たすことで利用できる補助金などがあります。
募集時期や上限額などは年度によって異なることがあるため、ホームページなどでチェックをしておきましょう。
ここでは、喫茶店・カフェの開業及び内装工事で申請できる補助金・助成金を2つ紹介します。
業務改善助成金
業務改善助成金とは、生産性の向上をサポートすることで、最低賃金の引き上げを図るために設けられた助成金です。
補助の上限額は50~200万円となっており、従業員数や申請枠によって異なります。
経営にあたって従業員を雇用する方は、募集要項を確認し申請を検討してみても良いでしょう。
参考:厚生労働省 業務改善助成金:中小企業・小規模事業者の生産性向上のための取組を支援
小規模事業者持続化補助金
小規模事業者特化補助金とは、小規模事業者の業務効率化などを支援するための補助金です。
カフェや喫茶店の場合、常時使用する従業員が5人以下であれば基準に該当します。
通常枠における補助上限額は50万円ですので、利用を検討してる方は募集時期をチェックしておきましょう。
参考:商工会議所地区 令和元年度補正予算・令和3年度補正予算 小規模事業者持続化補助金(一般型)
まとめ
喫茶店・カフェを借りる場合、スケルトン物件か居抜き物件となり、スケルトン物件は1坪あたり30~60万円、居抜き物件は1坪あたり10~30万円が相場とされています。内装工事費用を抑えたいなら間違いなく後者です。内装業者を選ぶ際は積極的にアドバイスをしてくれるところ、喫茶店・カフェの内装を多数手がけたところに頼みたいものです。
喫茶店・カフェの開業を成功させたいならデザイン設計、内装工事を依頼する前に自分で、
・コンセプトを決めておく
・ターゲット層を選定しておく
・周辺競合店をリサーチする
ことが肝要です。
そして内装工事が始まったら、どんなに多忙でも大切な自分のお店です。足しげく通って、設計図どおりに内装工事が進んでいるか、こだわりを内装工事業者もきちんと理解してくれているかを逐一、確認することを忘れないようにします。
完成後、開業後に、後悔しないお店づくりをしていきましょう。