病院を開業する場合の内装工事箇所と費用を紹介!
更新日:2024.01.23
みなさんは、病院の開業を検討されたことはありますでしょうか。
病院の概要としては、厚生労働省がまとめています。
厚生労働省は2020年9月29日に、2019年の医療施設調査と病院報告を公表しました。病院数が前年に比べ減少する一方、一般診療所は増加し過去最高となってます。2019年10月現在の病院数は8,300施設で、前年に比べ72施設減少しました。病院は減少傾向であり、2008年に9千施設を下回りました。一方、一般診療所は10万2,616施設で511施設増えています。一般診療所は増加傾向であり、2014年に10万施設を超えました。
このように、一般診療所は増加傾向にあることが伺えますので、病院を開業している人が増えていると言えるでしょう。
本記事では、増加傾向にある病院を開業するにあたっての注意するポイントや各種費用などについてご説明したいと思います。
(参考資料:公益社団法人全日本病院協会公表資料
(https://www.ajha.or.jp/news/pickup/20201015/news06.html))
病院における内装工事を成功させるために抑えるポイントについて
まず最初に、病院にとって内装デザインの良し悪しとは、経営を支えていくにあたって極めて重要なファクターであることをご認識頂きたいと思います。元来、病院とは患者の利用保護といった観点から、他の業界と比べると大々的な広告を発信することができず、多種多様な取組みを実施したとしても、それらを患者にダイレクトに伝える手段を持ちえなかったという背景があります。しかし、近年においては病院の広告規制に関する法律が改正されたこともあり、広告を積極的に使用した宣伝可能範囲が拡大されているのです。
しかしながら、個々の表現にまで及ぶ薬事法の規制は、未だ広告に対して大きな制限を敷いている現状にありますので、広告を出すことによって期待している効果が発揮できず、広告を出す病院側にとっては依然として厳しい現状となっています。
病院をビジネスとして考えるにあたって、口コミ・立地の良さ・話題となるカリスマ医師の在籍といった、広告媒体に依存しないでも患者が来院するステータスを病院に対して付与することが極めて重要となって来るのです。適切及び最適な診療を病院が提供することは患者にとって当たり前であることから、それ以外に病院へと付加価値を与えることによって広告せずとも患者が選びたいと思う病院を運営することが可能となるのです。病院にとって、集客及び患者同士の口コミを意図的に導き出すことが病院の経営戦略にとって重要であるということです。
ここからは、病院経営において非常に重要な役割を果たす病院の内装デザインについてご説明したいと思います。
内装の重要性について
患者が病院の評価を決定するのに、どこに重きを置いているのでしょうか。最適な治療を施してくれることや、その病院にカリスマ性のある先生が在籍していることも大切です。
しかし、結論から申し上げると病院に対する評価において内装デザインといったイメージ的な要素が評価を下すときに占める率は相当多くなっており、内装デザインが患者からの評価に直結していると言っても過言ではないでしょう。それほど、病院の内装とは重要なものなのです。
病院内に思い浮かべてもらうと分かるように、診察室及び施術室など視覚的に閉ざされている空間が多いことに気が付くのではないでしょうか。患者からの評価に大きく影響するファクターとして挙げられるのは、先生の雰囲気や病院そのものの評判も挙げられますが、忘れてはいけないのが視覚的に最も大きな影響を与える内装なのです。どれだけ治療困難な難病に対しての手術を成功させたと評判がある病院であったとしても、病院本体がひどく薄汚れており閉塞的な空間を創出しているのであれば、患者はそこで治療を受けたいとは絶対に思わないでしょう。患者は、
腕が良い先生が在籍していてホスピタリティあふれる対応をしてくれることは、あたりまえであると認識しているのです。従って、それらの当たり前の前段階として、清潔で快適に利用できる空間を創出している内装デザインでないと患者は集まって来ません。ソフト面としての魅力を直球で患者に伝えるための広告的な意味合いも内装デザインは兼ねているのだとご理解ください。
病院の評価を上げる4つのポイントについて
病院における内装の重要性は上述したとおりです。
ここからは、具体的にどのような内装デザインを構築すれば、患者が集まって来るのかについてご説明したいと思います。
具体的なポイントは、次の4つです。
- 清潔感
- 照明
- 動線
- 個性を活かしたデザイン
清潔感
清潔感とは、病院にとって最も基本的な事項である最も重要な要素です。
見た感じの直感的な部分で、清潔感を感じ取れる雰囲気となっているのかも大切ですが、病院を運営するという観点から物理的に清掃が容易なのかどうかもポイントとなっています。
清掃が容易なデザインであれば、清掃する人の労力を少なくできることから、時間の削減及び効率的に清掃へと寄与しますので、結果的に病院内の清潔は確保されます。また、病院内の清潔が確保されているのであれば、自浄作用が働きますので病院を利用している患者もキレイに使うことを心がけるようになるのです。病院と患者の相乗効果が発生することから、より一層病院の清潔は保たれるでしょう。
照明
照明が暗ければ暗い印象となり、明るければ清潔的な印象となります。照明1つで全く印象枷子となるため、病院内の照明は極めて配慮しなければなりません。
特に入院患者においては、サーカーディアンライティングシステムとも称されており照明の明るさが患者の心身に大きな影響を与えるとされています。
照明の使を効果的に使用することによって、より一層清潔感や明るいイメージを患者にもってもらうことができるだけでなく、患者の心身へも特段の配慮がなされている素敵な空間を創出することができるでしょう。
動線
来院される患者は、老若男女を問いません。様々な年齢層の方々が来院することを考慮し、どのような方であっても病院内をスムーズに移動できるよう動線に対する配慮をしなければなりません。
どこにいけば良いのか分からない動線では、患者が病院内で迷ってしまいます。従って、自分がどこにいけば良いのかすぐに理解できるように、明確かつ分かりやすい広々とした通路幅を考慮して動線を確保しなければなりません。四肢が健全な方ばかりではありませんので、年齢及び車椅子の有無などを問わず、バリアフリーを意識したユニバーサルデザインを積極的に採用するようにしましょう。
個性を活かしたデザイン
病院のデザインと言うと、一昔前ではどこの病院も白が基調となっており、必要最低限な無機質デザインばかりではなかったでしょうか。病院そのものの役割を考えると、患者の健康に配慮することを最優先とすべきであるため個性的なデザインは必要ないとも言えたのでしょう。
しかし、インターネットが普及したことによって、多種多様な情報を簡単に入手できるような時代ですので、他の業界と同じように病院も患者からの評価を受けて、病院が患者を選ぶのではなく患者が病院を選ぶ時代となったのだと言えます。
こういった時代背景を考慮すると、病院においても一般的な企業と同様、競合原理が働いている仕組みとなっているのです。そのため、腕が立つ医師を抱えるのは当然のこととして、サービス及びホスピタリティの飛躍的な向上と併せ、外装・内装に対して病院サイドの特色を反映させる刷新されたデザイン性を取り込むことが他の病院との差別化に繋がります。
このように、個性を活かしたデザインとは極めて重要な要素なのです。
病院における内装工事の費用について
患者が絶えない人気のある病院とするためには、上述したようなポイントを抑えなければなりません。
それでは、実際に病院の内装に関する工事に要する費用はどの程度必要なのでしょうか。
ここからは、具体的な病院に関する内装工事の費用相場についてご説明したいと思います。
内装工事の費用について
一般的な病院における内装に関する工事の費用相場は、坪単価に換算して約40万円からとなっています。
内装の具体的な仕上げ工事の内容は、床・天井・壁を最終的に仕上げる工事です。エントランス・待合室・診療室・職員室といった各部屋の種類により、最終的な見栄えとなる仕上げ材を変更することによって費用を抑えることも可能ですのでご一考ください。
ガラス素材のパーティションを採用することによって、外部から診察している様子が見えないようにする役目を果たしてくれる間仕切りです。しかし、ガラス素材の製品は価格が極めて高額であるため、あまり多用すると予算オーバーしてしまう可能性があります。そこで、パーティションの数を限定することによって費用を削減することができますので、プライバシーとの両立を考慮した効率的な間取りを検討するようにしてください。
なお、レントゲン室及び内視鏡設備といった特殊な医療設備も必ず必要となることからそれらの用途に適した内装工事を行わなければなりませんので、他の業界で相場とされているされている坪単価と比較すると病院の内装工事に関する坪単価は高額になるとご認識ください。
まとめ
ここまで、病院を開業するにあたっての注意するポイントや各種費用などについてご説明させていただました。
病院とは、一昔前ではあまり経営に配慮せずとも患者が来てくれたため運営の軌道は乗りやすかったと言えるでしょう。しかし、昨今の時代背景により病院側も患者によって選ばれる立場となったため、様々な面において配慮しなければ廃院に追い込まれてしまいます。そのため、内装工事などにおいては極めて慎重に検討を重ねて行わなければならないのです。
今後、病院の開業を検討されておられる方にとって少しでも本記事がお役に立てたのであれば幸いです。